種籾の選別:よく実った重い種籾を選びます。
お米の種は「種籾(たねもみ)」と呼びます。
よく実った重い種籾を選ぶため、一昔前までは、種籾を塩水に入れてかき混ぜ、浮いた籾を取り除く「塩水選」を各農家で行っていましたが、現在は、水に浸ける必要のない、風を利用した比重選別機を使って選別しています。
種子消毒:種に付着した病原菌を殺菌消毒します。
殺菌消毒には、農薬に浸ける「薬剤消毒」と、60℃のお湯に15分間浸ける「温湯消毒」の2種類の方法があります。
私たちはすべての圃場で特別栽培を行っているので、薬剤消毒ではなく、より安全な温湯消毒を採用しています。
浸種:発芽に必要な水分を十分吸収させます。
稲の種は、堅い殻に覆われているため発芽には時間がかかります。
発芽には種籾に水分を十分吸収させる必要があり、その際に重要なのは、溶存酸素量の多いきれいな水を十分吸収させることです。
酸素量が足りないと芽の生育が早くなり、根の生育が遅れてしまうからです。
浸種期間は水温に左右されるため、積算温度(日平均水温の合計)を基準に算出します。
積算温度がおよそ100℃に達すると発芽の準備が整います。
催芽(さいが):水の中で少しだけ芽と根の基を芽吹かせます。
水温32℃の水に一昼夜漬けると、「ハトムネ状態」と呼ばれる、芽が膨らんだ状態になります。
これを土の中に播くと、5日位で出芽(土の表面から芽を出す)します。
種まき:機械で育苗箱に種(催芽籾)を播きます。昔は、「苗代」という比較的小さく水を張った区切られた水田に、催芽籾をバラ播きして苗をつくり、その苗を一度引き抜いて本田に手で田植えしていました。
今は、30㎝×60㎝のプラスチックの育苗箱に土を入れ、乾燥籾で約180g前後の催芽籾を播きます。
育苗管理:田植えまでの苗を育てます。
ハウス育苗とトンネル育苗があります。
どちらも種を播き終わった育苗箱をハウスやトンネルの中に並べ、ポリエチレンフィルム等で被覆保温し、出芽までは地温30℃前後、出芽以降は気温25℃前後に保つように管理します。
25日程度で田植えができる苗の出来上がりです。
その間は、土が乾けば水をかけ、肥料を欲しがっていれば追肥をし、気温が高くなれば換気、寒くなれば被覆と、気候等の環境の変化に留意し、稲の顔色をこまめに観察しながら大切に大切に育てます。
苗の出来の良し悪しは、その後の生育を左右する大事な大事な時期であり作業です。
昔から庄内地方では「苗半作」と呼び、育苗を重要視しています。
肥料の散布(元肥):稲の生育全般に必要な栄養分を圃場に散布します。
トラクターにブロードキャスターという肥料散布作業機をつけて、圃場全体に肥料を散布します。
肥料は、養分の配合で様々です。
一般的には、土づくりの肥料として乾燥鶏糞(有機質堆肥とも言います)、肥料の3成分と言われる窒素(N)・リン酸(P)・加里(K)を含んだ化成肥料を使用しますが、私たちは、窒素の半分が有機質からなる有機化成肥料を使用しています。
この他に、実りを良くしたり病害虫に強くするケイ素や多くのミネラルなども投入します。
田起こし:トラクターのロータリー作業機で土をひっくり返し混ぜ合わせます。
田起こしは、「1.肥料の土中への混入」、「2.稲わら・稲株と雑草の土中へのすき込み」、「3.代掻きがしやすいように土を細かく砕く」、「4.田面を平らにする」などを目的に行います。
作業効率がよく、きれいに仕上がるため、できるだけ田んぼが乾いているときに行います。
代掻き:田んぼに水を入れ、トラクターの代掻きハロー作業機で土をかき混ぜます。
代掻きは、「1.田植えがしやすいように土をトロトロにして田面を平らにする」、「2.稲わら・稲株と雑草の土中へのすき込み」、「3.水漏れを防止する」などを目的に行います。
代掻き後のなみなみと水を貯えた水田が広がる様は圧巻です。
庄内平野35,400haの景色が一変する瞬間は、それまで雪の下で眠っていた大地がまるで息を吹き返したかのようです。
田植え:イネの苗を水田に植え付けます。
1か月ほどかけて大事に愛情を込めて育ててきた苗を、いよいよ大地に植え付けます。
6条~8条の田植え機で、丁寧に1坪60株、1株当たり約5本を、浅くもなく深くもなく約1㎝の深さで真っすぐに植えていきます。
これより先の私たち農家の仕事は、少しでも稲の成長を手助けすることになります。
ここから先は、稲自身の力で大地に根を張り、過酷な自然環境の中を生き抜いていかなければなりません。
水管理:水稲の生育に必要不可欠な水を水田に入れたり、時期によって抜いたりします。
何千年もの間、稲の栽培が継続してきた背景には「水の力」がありました。
稲の生育ステージに合わせて、水を浅くしたり深くしたり、時には抜いたりと・・・。
水には、病害虫や気温などの環境の急激な変化から稲を守り、安定した収穫ができるようにする大切な働きがあります。
水を上手にコントロールすることは、稲づくりの重要なポイントになります。
農業は、昔から雑草との闘いです。
水田にもヒエやコナギをはじめ、多種多様の雑草が発生します。
そのまま何もしなければ稲の生育よりも雑草の生育が勝り、やがて稲がなくなります。
有機栽培では、鴨を飼ったり、除草機を使ったりして対応をしますが、後継者不足の中、大面積を管理するには限界があります。
そこで、一般的には必要最小限の除草剤を使用します。
農薬は、その使用方法を正しく守れば作物への残留はいっさいしません。
私たちは、食の安全を確保するために、GAP(適正農業規範)の手法を用いて農薬の使用をはじめとする農場管理を厳格に行っています。
作溝:田んぼの中に溝を掘ります。
長さはおよそ100mにもなります。
こうしてできた溝は、水の出し入れにおいて大変重要な役割を果たします。
昔は、エンジン付きの機械を使って圃場を歩いて溝を作っていましたが、乗用の機械が開発され、今ではそれを使って作業を行っています。
「田面ライダーV3」と名付け、楽しみながら作業をしています。
中干し:田んぼの水を全部抜いて、圃場の土を乾かし固めます。
中干しの効果は、以下の3つがあります。
1.生育の調節
稲は、肥料と水があるとどんどん生育して過繁茂になってしまい、倒れたり、光合成がうまくいかず未熟な米が多くなったりします。
中干しをすると一時的に肥料の吸収が制限され、生育が抑制されます。
その結果、生育が適正に保たれ、品質の良いお米が収穫できるようになります。
2.根への酸素供給
田植えから頑張ってきた根に酸素を供給し、活き活きとした根がたくさん出るようにします。
この時の根は、最後まで実りを支える大切な根になります。
3.圃場を固くする
この時期に圃場を固くしないと、ぬかるんだままで、秋にコンバインが入れなくなります。
大型コンバインが効率よく動けるようにすることも、水稲栽培には欠かせない技術です。
肥料の散布(追肥):稲穂の生育に必要な栄養分を圃場に散布します。
稲の生育全般に必要な栄養分を施すことを「元肥」と言うのに対して、稲穂の生育に必要な栄養分をを施すことは「追肥」と言います。
追肥の際も肥料の3成分と言われる窒素(N)・リン酸(P)・加里(K)を含んだ化成肥料を散布します。
私たちは、窒素の半分が有機質からなる有機化成肥料を使用しています。
稲穂が長く、より大きな粒になるようにするため、「穂肥」とも言います。
農薬散布:病害虫防除のために必要最小限の農薬を散布します。
稲にとって重大な病害虫はいもち病とカメムシです。
いもち病は高温多湿でジメジメしているときに大発生し、みるみる稲がなくなっていく怖い病気です。
カメムシは、米粒に口ばしを刺して養分を吸い取ります。
吸い取られた跡は精米したときに黒い斑点として現れます。
これらの防除のため必要最小限の農薬を散布しますが、発生の可能性が低い時には防除を控えています。
この時の農薬も、その使用方法を正しく守れば作物への残留はいっさいしません。
もちろんその管理は、GAP(適正農業規範)の手法を用いて厳格に行っています。
栄養剤散布:マルチコプターで栄養剤を葉面からから吸収させます。
おいしいお米の最終仕上げとして、稲の葉から栄養分を補います。
お客様の健康と笑顔を思い浮かべながら・・・。
稲刈り:稲を刈り取り、脱穀します。
刈り取りの適期は、穂が出てから(出穂)およそ積算温度(日平均気温の合計)で1000℃~1100℃の時期になります。
稲は鮮やかな黄金色になり、庄内平野が黄色一色、秋の訪れを感じる時期となります。
乾燥・調製:生籾を乾燥機で乾燥させ、籾摺り機で玄米にして、選別機でよい米粒を選びます。
近年は、遠赤外線乾燥機で自然乾燥に近い乾燥方法が確立しており、お米の美味しさを壊しません。
およそ一晩で約15%水分になり、長期保存が可能になります。
次に籾摺り機で籾殻を外し、ライスグレーダーという選別機で未熟粒を取り除き、よく実ったきれいな飴色の玄米に仕上げます。
一般的にはこの状態でJA→米卸→小売店と渡り、精米されて消費者の皆様に届けられます。
消費者の皆様に新鮮なおいしさを産地直送でお届けするため、自社設備として精米プラントを導入しました。
五ツ星お米マイスターの元で丁寧に精米して皆様にお届けします。
より美味しく安全なお米を作るべく研究をしています
水稲の動画
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